秋田県 由利本荘市 須田ミエ子さん

オーガニックフードアンドスイーツ

合鴨農法・無農薬栽培の田んぼ

 

稲と話ができなければ、美味しいお米は出来ない。夢見てやった。

須田ミエ子さん 秋田県 由利本荘市 須田ミエ子さん

合鴨農法・不耕起栽培の先駆者

よく笑い、よく話し、聞き上手な須田ミエ子さんは、74歳を超えた今も、10人ほどいる男性従業員の筆頭にたち、夏は3時に起きて田んぼに出、従業員にゲキを飛ばし、頼りにされておられます。

須田さん農家は、25年くらい前から、合鴨農法や、不耕起栽培に取り組み、無農薬・無科学肥料栽培でお米を作っている、新農業の先駆者です。最初は、慣行農業をしていましたが、この方法では、品質のよい本当に美味しいお米ができないと思い立ち、農薬や化学肥料を使うことをやめ、新しい農法の取り組みをはじめます。

 

▲黄金色に実った稲穂の収穫
▲黄金色に実った稲穂の収穫
▲お役目をはたした合鴨たち
▲お役目をはたした合鴨たち
▲玄米を選別機にかけるところ。品質管理をされている方。
▲玄米を選別機にかけるところ。品質管理をされている方。
▲玄米を選別機にかける前。青い未熟米が残っています
▲玄米を選別機にかける前。青い未熟米が残っています
▲玄米を選別機にかけた後。欠けている米や、未熟米が除かれました。
▲玄米を選別機にかけた後。欠けている米や、未熟米が除かれました。
▲そろって食事中
▲そろって食事中
▲気さくで明るい従業員の方たち
▲気さくで明るい従業員の方たち

試行錯誤で、新しい農法を取り入れました

当時、ほとどん知られていなかった合鴨農法や、不耕起栽培に興味を抱き、九州大学の先生で合鴨農法に詳しい人の講演を聞きに行ったり、不耕起栽培に詳しい学者から指導を受けるなど、試行錯誤で勉強をし、新農法にチャレンジしていきました。

 

思いが届くまでは数年かかるもの

取り組みはじめた当初は、重労働にもかかわらず、収穫がほとんどできない時もあり、雇っている従業員の家族から「そんな農法をしているところで働くな。」と、大反対にあい、辞めていった人もいるなど、周囲の理解がなかなか得られず、大変な苦労があったそうです。でも「稲と話しができなければ、美味しいお米は出来ない。思いが届くまでは数年かかる、それを夢見てやった」。と、言います。美味しいお米をつくりたいという並々ならぬ気持ちにくわえ、農業を改革し、その見本となれるようになりたかったのだそうです。

 

職人技のきめ細かい品質管理

また、農薬を使用しないことや、新農法を取り入れるだけでなく、さらに良質な美味しいお米となるように、日々上を目指したお米づくりを続けています。例えば、田んぼにはった水は、通常より1ヶ月遅く抜きます。そうすると、稲刈りの作業がぬかるんで大変になるのですが、米粒がより大きくなって、美味しくなります。脱穀後も、米が欠けていないか、青い未熟米が規定以上混じっていないか、一粒一粒チェックする玄米の選別機を導入しています。(この機器は高価で、小さな農家で導入するのはとても大変です。)そして最後に保存する倉庫では、冷暖房を完備し、常に温度を適温(18度)に保つようにしています。

 

農業をしたいという人を増やすために

さらに「農業が元気にならないと、町全体がよくならない!」と、当時はめずらしかった会社経営にし、給料が保証されるシステムにします。昔は農家といえば家族経営で、あまり儲からず3K(きつい・汚い・臭い)と言われることが多かったので、会社経営にすることで、農業をやりたいと思う人が増えるのではと、経営方式を変えていきました。

 

災害にも強い根のはった稲と、大きく育った稲穂

今も手間のかかる労働にかわりはなく、収穫量も慣行栽培よりも少ないのが実情ですが、不耕起栽培・合鴨農法は成功し、しっかり大地に根をはる力強い稲ができるようになりました。おかげで台風などの災害にも強く、稲穂も通常より大きく育ち、何より、一粒一粒のお米に、しっかりとした濃い味がある、良質で安全なお米ができるようになりました。